Yoshiのミンダナオ日記(その8:コーヒーとカカオ)

令和7年4月21日
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ミンダナオは豊かな自然、肥沃な土壌からFood Basket of the Philippines(フィリピンの食糧庫)と呼ばれ、農業の可能性は無限です。ダバオ近郊のバナナ、パイナップルなどが日本に多く輸出されていることは多くの日本人がよく知っているでしょう。今日は、ダバオ産のコーヒー、カカオについて触れたいと思います。
 
 東南アジアでは、インドネシアやベトナムのコーヒーは良く知られていますが、フィリピン産コーヒーは無名です。1880年にフィリピンは世界4位のコーヒー輸出国であったと言われていますが、その後、病気などのため産業は衰退しました。最終製品の質が低く国際的なプレゼンスは無く、一方で国内需要は大きくフィリピンは世界有数のコーヒー輸入国になっています。ここで、太田勝久さんという日本人が立ち上がりました。フィリピン最高峰アポ山近くの農家を説得し、悪い豆を丁寧に手で取り除き、徹底的な技術指導をすることによって、数年かけて、高品質のスペシャリティ・コーヒーを作り上げました。山間地の急斜面では野菜の代わりにコーヒー樹が植えられるようになり土壌保全にも役立っています。
 今や、フィリピン全土のコーヒーの品評会でも、ダバオ産コーヒーは最上位に名を連ねるようになっています。コーヒー農家の暮らしは豊かになりました。私はダバオ産コーヒーの優しく風味豊かな味が大好きです。そして、アポ山を望む大自然の中でコーヒーを育てている農家の皆さんの明るい笑顔が忘れられません。
 また、ダバオ地方はカカオ・キャピタルと呼ばれるほど、カカオの生産が盛んな土地で、ダバオ地方だけで全国の78%が生産されています(Philippine Cacao Roadmap 2021-2025)。ここ数年、日本最大のチョコレート・メーカーである不二製油が、ダバオの協同組合に発酵箱を寄贈し、品質向上のお手伝いをしています。カカオは世界的な品薄で、その価格が急騰しており、カカオの供給地としてのダバオに熱い視線が寄せられています。ここでもカカオの品質向上に向けて、太田勝久さんが大活躍されています。
 日本における需要が極めて高いコーヒーとカカオ、日本から遠く離れたミンダナオのダバオがその供給地として、今後、発展していくことを心から祈っています。

2025年4月21日 石川義久
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