Yoshiのミンダナオ日記（その5：ダバオバイパス建設プロジェクト）

　ダバオの人たちが大きな期待をもって、その完成を心待ちにしているプロジェクトがあります。清水建設、ウルティコン、竹中土木のジョイント・ベンチャー（JV）が請け負っている我が国円借款事業ダバオバイパス建設プロジェクトです。私もこれまで何回もトンネル掘削セレモニー等に参加させていただき、関係者と親しくさせていただいています。
 
　ダバオは近年経済発展が著しいのですが、全ての物流がダバオ市の中心部を通るため、年々交通渋滞がひどくなっています。ダバオバイパス道路は、ダバオ市南端のシラワンから、ダバオ市中心部を迂回（バイパス）して、北部近郊のパナボ市を結ぶ全長約46キロの道路です。これが完成すれば、同区間の移動時間が従来の約90分から約50分に短縮されます。また、ダバオ市中心部の交通渋滞が大きく緩和される見込みです。
 
　我が国円借款は約348億円。バイパス道路の中央部に当たる10．7キロを担当していますが、特に、約2．3キロメートルのトンネル建設が注目されています。私は驚いたのですが、フィリピンで本格的な山岳道路トンネルを掘削するのは、なんと初めてなのだそうです。
 
　このトンネル建設には、豊富な経験に基づく我が国先端技術の粋が結集されています。換気、交通管制、防災設備にまで気を配った事業です。そして何よりも安全第一で工事は進められています。清水建設はこれまで海外でトンネルを建設してきました。ダバオバイパス建設プロジェクトにおいても、これまでの工事でノウハウを身につけた多くのインドネシア人技術者たちが、フィリピン人にその技術を教えながら、ともに汗水流して頑張っています。ダバオバイパス建設プロジェクトに携わったフィリピン人の技術者たちが、近い将来、自分たちの力でトンネルを掘削してダルトンパス東代替道路等、故国フィリピンの発展に尽くす日が来るはずですし、他の途上国のトンネル掘削を指導する日も来るに違いありません。惜しみない技術移転。これこそが、我が国経済協力のエッセンスであり、誇りなのです。私はこの事業に携わっている方々に心からの敬意を表するとともに、ダバオバイパス建設プロジェクト完成を是非この目で見届けたいという思いを強くしています。
 
2023年12月26日　石川義久